馬緤(まつなぎ)とは、石川県珠洲市にある町の名前。源義経が馬を繋いだところから名付けられたといわれています。ほかにも、義経の宿泊した入江沿いの小部落を 「泊」、義経が馬草用に使った海草を「義馬草」、などと義経にゆかりのあった名称が残されています。
馬緤は、石川県指定無形文化財の「砂取節」や「馬蝶追分」の発祥地としても親しまれています。
また、馬緤には、石灰華の化石(木の葉石)の層があり、海中からは貝殼を含んだ挙人の化石が採集されています。
馬緤は、石川県指定無形文化財の「砂取節」や「馬蝶追分」の発祥地としても親しまれています。
また、馬緤には、石灰華の化石(木の葉石)の層があり、海中からは貝殼を含んだ挙人の化石が採集されています。
砂取節とは、揚げ浜塩田の労働夫達が「寄揚げの浜」と云う砂取場から、塩田用の砂を船に運んだ際に歌われたものである。仕事がつらくて日の暮れるのを待つという、塩田作業の苦しさを唄っている。
塩浜の準備作業は三月下旬頃、冬期に荒れた塩田の地固めと地均しをし、次にその上に平均に撒布する砂を取って来なければならない(「砂取り」)。砂の粒子が細かすぎると海水を撒布した時に固まってしまう(中程度の粒子が最適の砂である)。砂取船は、多量の砂を積めるように底を平たく胴を広くしてあるから日本海の荒海を航行するには、吃水が浅く磯波をぶっつけると転覆しやすかった。六、七人乗り込んで往路の空船の時に槽漕歌として砂取節が歌われた。砂を満載している帰路は歌どころではなくエッサ、エッサ、の掛け声しか出なかった。
櫓音の擬音だけを伴奏に唄う素朴な哀調は、聞く人に深い感動を与え、浜師(浜男)、はまとり(浜女)と呼ばれる塩田で働く人々の喜び悲しみが、この歌を聞く人の心にひびいてくる。男らしい勇壮性も感じられ労働者の生活に対する心意気が感じられる。この砂取節は「唄え返し」があるので、全国でも珍しいといわれている。
*「砂取節」は、昭和43年2月26日 石川県無形民俗文化財に指定されている。
塩浜の準備作業は三月下旬頃、冬期に荒れた塩田の地固めと地均しをし、次にその上に平均に撒布する砂を取って来なければならない(「砂取り」)。砂の粒子が細かすぎると海水を撒布した時に固まってしまう(中程度の粒子が最適の砂である)。砂取船は、多量の砂を積めるように底を平たく胴を広くしてあるから日本海の荒海を航行するには、吃水が浅く磯波をぶっつけると転覆しやすかった。六、七人乗り込んで往路の空船の時に槽漕歌として砂取節が歌われた。砂を満載している帰路は歌どころではなくエッサ、エッサ、の掛け声しか出なかった。
櫓音の擬音だけを伴奏に唄う素朴な哀調は、聞く人に深い感動を与え、浜師(浜男)、はまとり(浜女)と呼ばれる塩田で働く人々の喜び悲しみが、この歌を聞く人の心にひびいてくる。男らしい勇壮性も感じられ労働者の生活に対する心意気が感じられる。この砂取節は「唄え返し」があるので、全国でも珍しいといわれている。
*「砂取節」は、昭和43年2月26日 石川県無形民俗文化財に指定されている。
発祥の時期は、江戸の初期。当時は封建思想の濃厚な時代であり、地主、小作の主従関係にも強いものがあった。住民の生活水準は低く、その日その日の暮しであった。冬季は積雪のため外仕事が出来ないために一人でも出稼ぎをして家庭の食糧を長く持ちこたえる工夫がなされた。主婦と子供や老人が留守を守り、夫の帰りを伝える雪解けの春を待つ。何も異常がなく、無事に帰って来た夫の家庭には、この上ない喜びであり、灯の消えたような一家に春の日射しがさし込んだように一家団欒の日々が作られる。
三月九日の「縁の事」には各部落の地主の庭先でこの馬緤追分が踊られ、夜の明けるまで飲み、踊ったといわれている。お互いの再会を喜び合うと共に、今年もまた地主様の塩田、田、畑を使用させて頂く挨拶を兼ね、縁の事の行事が行なわれた。無事出稼ぎから帰れたと云う事は非常な喜びであった。誰がよんだともわからない歌詞が、労働の中に生かされ、生活の悲しみを歌いながら、それも愛情のきずなに結びつけ、そうして故郷をなによりも愛し続けて来た祖先の心意気が切々と歌の中からよみがえって来ている。
三月九日の「縁の事」には各部落の地主の庭先でこの馬緤追分が踊られ、夜の明けるまで飲み、踊ったといわれている。お互いの再会を喜び合うと共に、今年もまた地主様の塩田、田、畑を使用させて頂く挨拶を兼ね、縁の事の行事が行なわれた。無事出稼ぎから帰れたと云う事は非常な喜びであった。誰がよんだともわからない歌詞が、労働の中に生かされ、生活の悲しみを歌いながら、それも愛情のきずなに結びつけ、そうして故郷をなによりも愛し続けて来た祖先の心意気が切々と歌の中からよみがえって来ている。
馬緤キリコ太鼓は、厄払い・豊作・豊魚の祭礼太鼓といわれている。
キリコ(切籠)とは、切子灯籠(きりことうろう)を縮めた略称で、奥能登に発祥し、その後中能登の方へ伝搬していったと言われている。
このキリコが御輿渡御に供奉して道中を照らし、神様をお守りしながら漂い、乱舞する祭りを総称して「キリコ祭り」と呼ぶ。その特徴は、宵祭りにキリコが神社に集結し、御発の式典を済ませた後に、御輿に従って海辺や河岸に設けられた御旅所に向かい、そこで柱松明炎上の祭典を奉仕するところにある。キリコに灯をともし 笛 シャギリ 太鼓ではやし 夜を徹してこれを 担ぎまわる。7月初旬から10月中旬までの間に、百数十を超える地区でキリコ祭りが行われている。
キリコ(切籠)とは、切子灯籠(きりことうろう)を縮めた略称で、奥能登に発祥し、その後中能登の方へ伝搬していったと言われている。
このキリコが御輿渡御に供奉して道中を照らし、神様をお守りしながら漂い、乱舞する祭りを総称して「キリコ祭り」と呼ぶ。その特徴は、宵祭りにキリコが神社に集結し、御発の式典を済ませた後に、御輿に従って海辺や河岸に設けられた御旅所に向かい、そこで柱松明炎上の祭典を奉仕するところにある。キリコに灯をともし 笛 シャギリ 太鼓ではやし 夜を徹してこれを 担ぎまわる。7月初旬から10月中旬までの間に、百数十を超える地区でキリコ祭りが行われている。
平家を打ち破った源義経は、3年の間に、兄源頼朝とおりあいがつかず、愛人静と女人禁制の高野の山すそに別れを告げ、奥州の藤原氏をたよって逃亡の旅に出た。 その時能都に足を踏み入れ、馬緤の地にも足を止めたと考えられる。 「泊」という地名があるが、義経が、ここに泊まったから「泊」という地名があるのだといわれる一説もあり、「馬こし」という地名も、馬をかくした所「馬かくし」であると思われ、いつのまにかなまって「まあこし」となったのだと思われる。「義馬草」「ぎんばさ」「ぎばさ」といっているのも、学名「ホンダワラ」の事ですが、義経が馬に食べさせた草であるので義経草と名づけているように思われる。
源義経はこの馬緤の地に足をとめたのは、山伏姿で身をかくし、世をはかなう身にしてみれば、格好のかくれ地であったのかもしれない。また一説には、奥州に逃れる途中、平時忠の娘、わらび姫に最後のわかれを告げに立ち寄り、愛人としてのわらび姫と世の無常を一夜涙と共に語りあかしたとも伝えられ、馬をつないだから馬緤となった。
*蕨姫(わらびひめ)は、平家一門の平時忠の娘。
源義経はこの馬緤の地に足をとめたのは、山伏姿で身をかくし、世をはかなう身にしてみれば、格好のかくれ地であったのかもしれない。また一説には、奥州に逃れる途中、平時忠の娘、わらび姫に最後のわかれを告げに立ち寄り、愛人としてのわらび姫と世の無常を一夜涙と共に語りあかしたとも伝えられ、馬をつないだから馬緤となった。
*蕨姫(わらびひめ)は、平家一門の平時忠の娘。
立行司・第十三代木村庄之助は馬諜海岸の鰐崎部落で塩川夫の子として生まれた。幼少の頃から、特に唄と勝負捌きが好きだったそうで、六代横綱阿武松緑之助の抱え行司として入門し、八代庄之助の弟子となった。
木村市之助から多可馬となり、嘉永六年六月に、十三代庄之助を製名している。以来明治九年四月の引退まで、立行司を二十四年の長期間にわたってつとめた。引退後は郷里に帰って地方相撲などを指導し、明治十四年九月十日没した。
記念碑は、馬緤の大崎島近くの春日神社境内ある。
木村市之助から多可馬となり、嘉永六年六月に、十三代庄之助を製名している。以来明治九年四月の引退まで、立行司を二十四年の長期間にわたってつとめた。引退後は郷里に帰って地方相撲などを指導し、明治十四年九月十日没した。
記念碑は、馬緤の大崎島近くの春日神社境内ある。
馬緤海岸にある島、面積は約二十ヘクタール。島には大湾、小湾、孤の踊り場、地獄谷など、それぞれ名前がつけられて、変化に富んだ名所がある。
能登には数多くの方言があり、地域によって違う。
主に珠洲市で、使われていることばは次のようになります。
■日常会話編
■単語編
*引用:珠洲市役所
主に珠洲市で、使われていることばは次のようになります。
■日常会話編
珠洲の方言 | 標準語 | 使用例 | 使用例の意味 |
---|---|---|---|
〜げん | 〜のだ、〜んだ | 東京に行くげん。 | 東京に行くんだ。 |
〜のきゃ | 〜ですよね | そうやのきゃ。 | そうですよね。 |
〜おってけ 〜おらすか 〜いらすか |
いらっしゃいますか | お父さん、おってけ? | お父さん、いらっしゃいますか? |
おらっちゃ | 私たち | おらっちゃ、先に帰る。 | 私たちは先に帰る。 |
わっちゃ | 君たち あなたたち |
わっちゃ、どこにおるげん? | あなたたちは、どこにいますか? |
ほんなんきゃ | そうなんですか | 今日新鮮な魚がたくさん捕れたらしいね。あ、ほんなんきゃ。 | 今日新鮮な魚がたくさん捕れたらしいね。あ、そうなんだ。 |
おしまいさんけ | さようなら | ほんなら、おしまいさんけ | それでは、さようなら |
ぎょうさん | たくさん | ぎょうさん柿なっとるがいね | たくさん柿が実っているのね |
きずい | わがまま | 「肉もすかん、魚もすかんてて、きずいやなあ | 肉も嫌い、魚も嫌いだなんて、わがままだなあ |
ちゃべ | おしゃべり | あの人、ちゃべでいわるわけの。 | あの人は、おしゃべりで困ります。 |
こっすい | ずるい | 兄ちゃんの持ってったケーキのほうがでかい。こっすいなあ | 兄ちゃんの持って行ったケーキのほうが大きい。ずるいよ |
いちがい | がんこもの | あのじいさん、ちょっこしいちがいやわいね。 | あのおじいさんは少しがんこものだよ。 |
かしま | 裏返し | ちょっとあんた、ほのセーター、かしまでないけ | ねえ、あなたのそのセーター、裏返しじゃないの |
ちょっこし | 少し | このお菓子ちょっこし残いといて。 | このお菓子 少し残しておいて。 |
ごも | 解らずや | われ、ごもやな。 | あんたは、解らずやだよ。 |
げっと | ビリケツ | 走り競争でげっとやったわ。 | 走り競争でビリだったよ。 |
だら だらぼち |
馬鹿 馬鹿者 |
われ、だらびちか? | あんた、馬鹿じゃないの? |
ほかす | 捨てる | このゴミ、ちょっとほかしてきて | このゴミを捨ててきて下さい |
いわる | 困る | 雨ばっかり降って、いわってもたわ。 | 雨ばっかり降って、困りました。 |
ちきない | 苦しい | 風邪ひいてちきないわきゃ。 | 風邪をひいてつらいよ。 |
けなるい | 羨しい | おやけなるい。まあそなリンゴや | あら、うらやましい。おいしそうなリンゴだこと |
かやる | 転ぶ | どこ行くが?そんなに急いだらかやるがいね | どこへ行くの。そんなに急いだら転ぶでしょ |
はんでく | 持って行く | ちょっと待たし。今、はんでくし | ちょっと待ってね。今、持って行くから |
ちびたい | 冷たい | ちびたいビール1本くだし | 冷たいビールを一本ください |
ほぞこく | ふざけている | ほんなほぞこいとるさかいやがいね。まったくしょうがない子ね | そんなにふざけているからよ。まったく仕方のない子ね |
こっしゃえる | つくる | この煮しめ、まいがにこっしゃえてあるがいね | この煮しめ、おいしいのに作ってあるのね |
びっちゃ | 違う | それ、びっちゃ。 | それは違うよ。 |
じらこねる | 駄々をこねる | いつまでもじらこねとらんと、はよ行くぞ | いつまでも駄々をこねていないで、早く行くわよ |
いじくらしい | うるさい しつこい |
あの人、何回も同じ事言うていじくらしいのきゃ。 | あの人、何回も同じ事言うからしつこいよね。 |
しゃわしきない | 落ち着きがない | うちの子供、ほんとにしゃわしきないげんて。 | うちの子供は本当に落ち着きがなくて。 |
かやる | 転ぶ | なしてん。かやったんか。血イでとるぞ | どうした。転んだのか。血が出てるぞ |
ぼれた | 壊れた | このテレビ、ぼれてもた。 | このテレビ、壊れてしまった。 |
がる | 追われる | あんたんとこ来るがに、犬にがられてしもて | あなたの所へ来るのに、犬に追われてしまったの |
かんでく | かつぐ | あんた、ほんなに荷物かんで、どこ行くが | あなた、そんなに荷物をかついで、どこへ行くの |
ねまる | 座る | あんた、ほんなとこに立っとらんと、ここにねまらしけ | あなた、そんな所に立っていないで、ここに座りなさいよ |
こわい | 固い | 今日の飯、なんやこわないか | 今日のご飯、何だか固くないか |
あるわけ | あります | ここに靴下あるわけ | ここに靴下あります |
おーけの | そうです | 明日お祭りやね。おーけの。 | 明日お祭りやね。そうです。 |
あののけ | あのね | あののけ、昨日金沢行ってきたわ。 | あのね、昨日金沢行ってきました。 |
なんやけ | 何ですか | これなんやけ | これなんですか |
はいだるい | つまらない | 今日の試合ははいだるい | 今日の試合はつまらない |
いいえ | なんも | この鍵ですか。なんも | この鍵ですか。いいえ |
べっちゃ | 違う | この本を借りてきたけど、べっちゃわけ | この本を借りてきたけど、違いますよ |
あだける | 騒ぐ | この子、隣の家であだけとる | この子、隣の家で騒いでいる |
いっさる | 叱る | 悪いことしたのでいっさる | 悪いことしたので叱る |
きょうづく | からかう | あの子にいつもきょうづいとる | あの子にいつもからかっとる |
おまする | 進呈する | 記念にアルバムをおまする | 記念にアルバムを進呈する |
へしない | まだるい 待ち遠しい |
今日はたくさん歩いてへしない 早く遠足が来ないかへしないわ |
今日はたくさん歩いてまだるい 早く遠足が来ないか待ち遠しいわ |
だっくりする | 安堵する | 地震があったが、何もなくてだっくりする | 地震があったが、何もなくて安堵する |
おーどな | 大胆な | あんたいつもおーどな考えをする | あなたはいつも大胆な考えをする |
もったいしゃ | 面倒な | いつも酔ってしまうがいね、もったいしゃ | いつも酔ってしまうね、面倒な |
だだくさな | 不潔な | 石鹸で手を洗っていない。だだくさな奴やな | 石鹸で手を洗っていない。不潔な奴やな |
かんまえて | 心して | かんまえて発表してほしい | 心して発表してほしい |
べくさい | 高慢 | あの人はべくさいふるまいをする | この人は高慢にふるまいをする |
■単語編
珠洲の方言 | 標準語 |
---|---|
あんま あんさま |
長男 |
おっさま | 次男 |
あねま | 姉 |
たんち | 女児 |
やうち | 彼・仲間 |
いっけ | 親類 |
でっこ | 雄牛 |
ばっこ | 雌牛 |
がんちょ | 蟹 |
がっと | 蛙 |
めんじや | 洗し場 |
おーと | 玄関 |
あかば | 晴着 |
てんご | いたづら |
かしま | 裏返し |
おとしべ | 出稼ぎ |
かたけ | 一食 |
あしめ | 期待 |
へっから | 午後 |
しんがい | へそくり |
よばれ | もてなし |